杉田クリニック

川西市の杉田クリニック(内科,循環器科,リハビリテーション科)

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診察室から

喘息2

喘息は気道に慢性的な炎症が起きている状態です。そのため、気道が刺激に対して敏感になっており、タバコ、ほこり、動物の毛、風邪などの刺激で気道が狭くなり、発作が起き、息がしにくくなります。この発作の出現時に、のどがぜーゼー、ヒューヒュー鳴るのです。昔は、発作が出てからの治療が主体でしたから、発作が出たときは、ヒューヒュー鳴る音を聴診器で確認し、気道を拡げるお薬を使い、発作を鎮めて治療を終わっていました。
しかし、ここで治療を終わってしまっては、気道の慢性炎症は治まっておらず、そのため気道の刺激に対する敏感さも改善しておらず、気道刺激にさらされれば、すぐ発作を起こすことになり、発作のない生活はおろか、日常生活でも活動制限が加わってしまいます。
次回は診断と治療の話をさせていただきます。

 

喘息3

以前は喘息治療は発作治療が主体でしたから、診断も聴診器で十分でした。しかし、今では気道の慢性炎症を改善することが重要ですから、聴診器では不十分です。私の友人に呼吸器専門医がいるのですが、彼が私に「俺は、最近、喘息の治療に聴診器なんて使った事がない。」と言った事があります。多少おおげさだと思いますが、要は、彼が治療している患者さんで、診断に聴診器が必要な喘息発作を起こすような、管理不十分な患者さんはいないという自慢なのです。それでは診断には何を使うのでしょうか。患者さんの症状も気道の刺激に対する敏感さの診断には有効ですが、もっと有効な検査が息を吐き出す力(ピークフロー)の測定です。このピークフロー測定無しには現代の喘息管理は困難です。次回はいよいよ治療のお話です。

 

喘息4

喘息の治療の基本は、発作が年に数回しか起きない軽症間欠型の方や6歳未満の子供さんを除き、ステロイド吸入です。実際、喘息が気道の慢性炎症である以上、根本的な治療薬はステロイドしかないのです。昔、ステロイドは内服薬しかなかったので、ステロイドの全身への移行が大きな副作用でしたが、吸入ステロイドは全身への移行がほとんどなく、安心して使えます。ただ、口腔内にステロイドが残ると感染症を引き起こしやすいので、吸入後のうがいは必須です。次にステロイドの吸入量はどのようにして決めるのでしょうか。この際にも、症状とピークフロー測定が重要な判断材料になります。一般にはその方の最高のピークフロー値が2割減少したら吸入ステロイドの増量が必要ですし、4割減少したら緊急受診が必要です。次回も治療です。

 

喘息5

吸入ステロイドが喘息治療の基本とお話しましたが、内服の気管支拡張薬や抗アレルギー薬も必要なお薬です。ただ、それも吸入ステロイドを使用した上の併用薬として必要なのであって、単独で使用する薬ではないのです。ほとんどの喘息は吸入ステロイドと吸入の長時間作用型の気管支拡張薬で管理できると豪語しておられる喘息専門医もおられます。実際、私も、喘息管理不良患者さんのステロイド吸入増量で管理が改善した症例を何例も経験しており、まだまだ吸入ステロイドの使用(増量)が少ないように感じています。喘息をお持ちの方はピークフロー値を意識しながら、ステロイドの吸入量を調節し、活動制限が全く無い生活を楽しみましょう。これで喘息のお話は終わりです。次回からはメタボリックシンドロームのお話です。